想像と経験の空間
ニューヨークに住み始めた頃、私にとってインチとフィートの寸法は部屋や家具、その他何かのサイズを把握するのには全く役に立ちませんでした。アメリカ合衆国で通常使われている寸法と計量のシステム(インチ、ヤード、ポンド、ガロンなど)はそれまで私の日常生活には存在しなかったからです。それらの寸法を自分の感覚で把握するには、いちいちメートル法に換算し直さなければなりませんでした。そこで初めてそのスペースや家具が大きいのか小さいのか、どんな形なのかが漠然と想像できるのです。
このことが、私たちはどのように空間/スペース(例えばオープンスペース、間、壁で囲まれた空間や構造空間など)を想像、認識そして経験しているのかということに関心を持つ始まりとなりました。

スペースについて図解のない記述や小説を読んだとき、果たして何を想像するのだろうか?空間についての視覚情報はどのように認識されるのだろうか?
ここで、「光」が空間の広さや構造を把握するにあたって不可欠だという当たり前のことに気づきます。
しかしながら、写真は被写体(空間)の実際の大きさの情報にはあまりならず、被写体を引き伸ばしたり縮ませて、むしろ不明瞭または混乱させたりするのです。

以上の感覚や疑問から空間と写真の関わり合いに興味を持ち、この作品シリーズで探っています。空間/スペースと写真は、インプットとアウトプットとして相互作用しています。その相互関係は二次元のイメージとして、または三次元にある物体として見ることができます。組み合わせたり、並べられた写真たちはそれら自体で空間 – 間と想像空間 - を創り出します。作品を見る人々は写真が展示された空間を歩き回り、壁を見上げたり、床を見下ろしたりしながら、写真の持つ有形と無形のものを経験します。

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